部下の育成に役立つ効果的な質問の方法について、第1回は「質問の目的と基本的な2つのポイント」、そして前回は「思い込みをはずす効果的な質問」についてお話をしました。
3回目の今回は、漠然とした考え具体化させる質問の方法についてお伝えします。
質問は漠然としていることを明確化するのに効果的
質問の目的は、部下・メンバーが、自分で気づいていない点に気づき新しい視点や考えを得るためです。
自分ではなかなか気づくことができないのは、自分の考えや言っている事が漠然としていたり、具体的でないからという場合があります。
例えば、仕事の将来について悩んでいるとします。
話をして聞いてもらって、よくよく考えてみると、不安の素となる実際の出来事があって、それが雪だるま状態に大きくなっているだけだったり、逆に考えてもしょうがないことだったり、という事ありませんか。(かの賢者ブッダも「不安は妄想だ」と言っています…)
人は見えないものや漠然としているものに不安を覚えると言います。
幽霊、おばけが怖いのもそうですね。
この不安というのは、特にビジネスの場面では、動き出せずスピードダウンしてしまったり、判断を誤ってしまう要因になってしまいます。
つまり、その漠然とぼんやりしている事をはっきりとさせていくことも質問の大切な役割なのです。
漠然とした大きなかたまり(=チャンク)をほぐして細分化させていく、ぼんやりしている事柄をより明確に、具体的にしていく(カメラのピントを合わせていく様なイメージ)質問を投げかけていきましょう。このより具体的にしていくことを「チャンクダウン」と言います。
例えば?具体的には?詳しくは?の質問をする
例えば?具体的には?詳しくは?などの質問は、漠然とした事を具体的に落とし込むために効果を発揮します。
例:「今期売上げをあげる」目標があるが、なかなか成果が出ない部下
⇒売上げをあげる、という漠然としている事をチャンクダウン
♦「例えばどんな計画を立てる?」
♦「具体的にはどんな行動ができそう?」
♦「その行動、詳しく聞かせて」
大きなかたまりが徐々に細分化されていく感じ、わかりますか?
(ただし、矢継ぎ早に質問をすると、詰問・尋問のようになるのでご注意を!)
漠然としていて具体化が難しい場合は?
あまりにも漠然とし過ぎていてなかなかチャンクダウンができない場合には、選択肢を提示するのも、ひとつの手です。
例:
上司:「注力は、新規店か既存店だと、どちらが効果あると思う?」(クローズドクエスチョン)
部下:「既存店でしょうか」
上司:「では既存店をターゲットにすると例えばどのような計画を立てる?」
部下:「客単価を上げる提案をする事でしょうか」
上司:「客単価をあげるためには具体的には何ができそう?」
部下:「先方の要望に沿ったオプション商品をセットで提案する事であがると思います」
上司:「その提案についてもっと詳しく教えて」
部下:「そうですね、オプションを選ぶお客様が多いので、初めからセットにしておくといいかと思います」
上司:「いいね、いつまでに提案書はできそう?」
部下:「今週中には仕上げます」
…というように、チャンクダウンをしていくと、具体的に何をいつまでに行うか、部下自身の方向性が明確になります。
優しく外堀を埋めていく感じですね(笑)
会話を見ると上司は、例えば?具体的には?詳しくは?とぼんやりしている事がクリアになるような質問を投げかけています。
このようなシンプルな質問で会話を進めていくだけで十分なのです。
目標がはっきりして部下も動きやすくなるでしょう。
部下が自分で考え、動き出せるんだ!ということに気づくと、その後はどんどん自転していきます。
慣れるまではこの会話をひたすら繰り返す事が、部下の気づく力、考える力を育てるトレーニングになります。
そして何より上司である皆さんの質問力がぐっと上がります。是非お試しを!